「また、こんな自分が出てしまった」
仕事で小さなミスをした。
誰かに迷惑をかけてしまった。
言いたいことがあったのに、結局言えなかった。
そんな日の帰り道。
「どうして私は、いつもこうなんだろう」
「もっとちゃんとできたはずなのに」
「こんな自分が、本当に嫌だ」
頭の中で、何度も同じ言葉を繰り返してしまうことはありませんか?
反省して、次に生かせばいい。
頭ではそうわかっているのに、気持ちが切り替わらない。
失敗したことよりも、失敗した自分を許せない。
そんな苦しさを抱えている方に、今日はひとつのお話をしたいと思います。
小さなミスが「自分には価値がない」に変わってしまう
滋賀県にお住まいのBさんも、自分を責めることが習慣になっていた方でした。
例えば、仕事で小さなミスをしたとき。
上司から、
「次は気をつけてね」
と言われました。
それだけのことでした。
けれどBさんの頭の中では、反省会が始まります。
「また迷惑をかけてしまった」
「きっと、仕事ができない人だと思われた」
「どうして私は、こんなこともできないんだろう」

帰宅してからも、その言葉が頭から離れません。
夜、布団に入っても、昼間の場面を何度も思い返してしまう。
そして最後には、
「やっぱり、私はダメな人間なんだ」
という結論になってしまうのです。
でも、少し考えてみてください。
仕事でミスをしたことと、人として価値がないこと。
この二つは、本来まったく別のことですよね。
それなのにBさんは、いつの間にか結びつけてしまっていたのです。
Bさんは、いつから自分に厳しくなったのでしょう
お話を伺っていくと、Bさんは子どもの頃から、親の機嫌を気にして過ごしていたそうです。
「今、話しかけても大丈夫かな」
「これを言ったら、怒られるかな」
「ちゃんとできなかったら、どうしよう」
自分が何をしたいかよりも、親がどう反応するか。
そんなことを考える時間が多かったといいます。
失敗をすると、強く叱られる。
できたことより、できなかったことを指摘される。
褒めてもらっても、次はもっと頑張らなければと思う。
そんな経験が重なる中で、Bさんはある考え方を身につけていったのかもしれません。
「ちゃんとできる私でなければ、認めてもらえない」
アダルトチルドレンの方の中には、子どもの頃の家庭環境から、こうした思いを抱えるようになった方がいます。
そして大人になっても、誰かに注意されたときや失敗したときに、昔と似た不安がよみがえることがあります。
今、目の前にいるのは上司なのに。
心の中では、子どもの頃に叱られていた自分が反応している。
そんなこともあるのです。
「自分が嫌だ」の奥に、別の気持ちが隠れていた
Bさんは、何かあるたびに自分を責めていました。
でも、少しずつ気持ちを整理していくと、「自分が嫌だ」という言葉の奥に、別の気持ちがあることに気づいていきました。
本当は、失敗するのが怖かった。
人にがっかりされるのが悲しかった。
頑張っていることを、認めてほしかった。
そして何より、
失敗したときにも、安心していたかった。
「こんな自分が嫌だ」
その言葉の中には、自分への怒りだけでなく、怖さや悲しさ、寂しさが混ざっていることがあります。
けれど、自分を責めることが習慣になっていると、その気持ちに気づく前に、
「私が悪い」
という言葉で終わらせてしまうのです。
Bさんにとって大きな変化だったのは、自分を好きになれたことではありません。

「私、本当は怖かったんだ」
と、自分の気持ちに気づけたことでした。
自分を受け入れることは、失敗を正当化することではない
「自分を受け入れましょう」
そう言われると、戸惑う方もいるかもしれません。
「でも、私には直したいところがたくさんある」
「自分を許したら、成長できなくなるんじゃない?」
そんなふうに思うこともあるでしょう。
でも、自己受容は、何でも自分を許して終わりにすることではありません。
例えば、仕事でミスをしたとき。
「確認が足りなかった。次は気をつけよう」
と振り返ることは大切です。
でも、
「こんなミスをする私は、価値がない」
と、自分の存在まで否定する必要はありません。
行動を振り返ることと、自分を嫌いになることは違います。
失敗した自分を受け止めながら、次にできることを考えていく。
それが、自分を大切にしながら成長していくということなのだと思います。
「自分が嫌だ」と思った日に、試してほしいこと
もし、また自分を責める言葉が浮かんできたら。
無理に「私は素晴らしい」と思おうとしなくても大丈夫です。
まずは、こんなふうに自分に聞いてみてください。
① 何があったの?
「仕事でミスをした」
「言いたいことが言えなかった」
まずは、起きた出来事だけを見てみます。
② そのとき、本当はどう感じたの?
「怖かった」
「恥ずかしかった」
「悲しかった」
「悔しかった」
すぐにわからなくても構いません。
③ 本当は、どうしてほしかったの?
「怒らずに話を聞いてほしかった」
「頑張ったところも見てほしかった」
「大丈夫だよと言ってほしかった」
ここで初めて、自分を責める言葉の奥にあった願いが見えてくることがあります。
大切なのは、正しい答えを出すことではありません。
自分を責める前に、自分の気持ちを聞いてあげること。
それだけでも、これまでとは違う自分との関わり方が始まります。
自分を大好きになることを、急がなくていい
Bさんは、長い間、自分に厳しい言葉をかけ続けてきました。
だから、急に自分を好きになろうとしても、なかなか難しかったのです。
「よく頑張っているよ」
そう声をかけても、最初は素直に受け取れませんでした。
でも、少しずつ、
「また自分を責めているな」
「本当は怖かったんだな」
と気づけるようになっていきました。
そして、失敗した自分に対しても、以前ほど厳しい言葉をかけずに済む場面が増えていったそうです。
自分を大好きになることは、ある日突然、自分のすべてを好きになることではないと思います。
嫌いだと思っていた自分にも、理由があったと知ること。
うまくできなかった日にも、自分の気持ちを置き去りにしないこと。
そんな小さな積み重ねの中で、自分との関係は少しずつ変わっていくのではないでしょうか。
「こんな自分が嫌だ」と思ったあなたへ
今日も、何かをうまくできなかったかもしれません。
誰かに気を遣いすぎたかもしれません。
また同じことで悩んでしまったかもしれません。
でも、その出来事だけで、あなたのすべてが決まるわけではありません。
「こんな自分が嫌だ」
そう思ったときこそ、少しだけ問いかけてみてください。
「私は今、何に傷ついているんだろう?」
その問いかけが、自分を責める習慣から、自分を理解する習慣へと変わっていくきっかけになるかもしれません。
自分を好きになれない日があってもいい。
今はまだ、自分を受け入れられなくてもいい。
まずは、自分を嫌いになるほど苦しかった気持ちを、少しずつ知っていくことから始めませんか。
長い間、自分を責め続けてきた方にとって、自分の気持ちを一人で整理するのは難しいこともあります。
カウンセリングでは、今の苦しさだけでなく、その背景にある思いや経験も、無理のないペースで一緒に見つめていきます。
「こんな自分が嫌だ」から、「こんな自分にも理由があったんだ」へ。
まずは、あなたのお話を聞かせてください。
自分を味方に、わたしを大好きになる
つむぐ🍀こころLab
