あんなに準備したのに、また話せなかった
会議で発言する日。
何度も資料を読み返して、伝えたいことを頭の中で整理した。
家でも練習した。
「今度こそ大丈夫」
そう思っていたのに、いざ自分の番になると、心臓がドキドキしてくる。
声が震える。
頭の中が真っ白になる。
何とか話し終えたものの、席に戻ると、もう反省会が始まっています。
「あそこで言葉に詰まってしまった」
「声が小さかった」
「きっと変に思われた」
そして、最後には決まって、
「また失敗した。やっぱり私はダメだ」
と、自分を責めてしまう。
こんな経験はありませんか?
でも、ここで少し考えてみてほしいのです。
あなたは本当に、失敗したのでしょうか。
その「失敗」は、誰が決めたのでしょう?
例えば、会議で意見を求められたとします。
緊張しながらも、自分の考えを伝えました。
途中で少し言葉に詰まったけれど、最後まで話すことはできた。
周りの人は、特に何も言いませんでした。

ところが、あなたの頭の中では、
「途中で詰まったから失敗」
「声が震えたから失敗」
「堂々と話せなかったから失敗」
という判定が下されています。
でも、もし同じことが同僚に起きたら、どう思うでしょうか。
少し言葉に詰まった同僚を見て、
「この人はダメな人だ」
と思うでしょうか。
おそらく、
「緊張していたのかな」
「でも、言いたいことは伝わったよ」
と受け止める方もいるのではないでしょうか。
人には優しい採点ができるのに、自分には100点しか許せない。
あがり症で悩んでいる方の中には、そんな厳しい採点基準を持っている方がいます。
アダルトチルドレンと「失敗してはいけない」という思い
なぜ、自分にだけ厳しくなってしまうのでしょうか。
その背景には、子どもの頃の経験が関係していることがあります。
例えば、
テストで90点を取ったのに、できなかった10点を注意された。
何かを間違えると、強く叱られた。
自分の意見を言うと、「余計なことを言わないの」と否定された。
そんな経験が繰り返されると、子どもは少しずつ、
「間違えないようにしなければ」
「ちゃんとできなければ、認めてもらえない」
と思うようになることがあります。
アダルトチルドレンの方の中には、こうした経験から、人前で失敗することに強い不安を感じる方もいます。
もちろん、あがり症の原因はひとつではありません。
生まれ持った気質や過去の経験、現在のストレスなど、さまざまな要因が関係します。
ただ、子どもの頃から「失敗してはいけない」と感じてきた方にとって、人前で話す場面は、単に意見を伝える時間ではなく、
「自分が認められるかどうかを試される時間」
のように感じられることがあるのです。
そうなると、緊張するのも無理はありません。
緊張したことまで「失敗」にしていませんか?
ここで、もうひとつ気づいてほしいことがあります。
それは、緊張すること自体を失敗だと思っていないかということです。
「声が震えたらダメ」
「顔が赤くなったら恥ずかしい」
「頭が真っ白になったら終わり」
そう思えば思うほど、体の変化が気になってしまいます。
心臓がドキドキすると、
「まずい、緊張してきた」
と焦る。
声が少し震えると、
「やっぱりダメだ」
と感じる。
そして、その焦りがさらに緊張を強めることがあります。
でも、緊張は人間に備わっている自然な反応です。
大切な場面でドキドキすることも、声が震えることもあります。
緊張したからといって、失敗したことにはなりません。
ここを切り離して考えることが、とても大切です。
「うまく話せたか」以外にも、見てほしいことがある
例えば、今日の会議。
思うように話せなかったかもしれません。
でも、こんな事実はありませんでしたか?

- 緊張しながらも、会議に参加した
- 発言するために、前もって準備をした
- 声が震えても、自分の意見を伝えようとした
- 途中で詰まりながらも、最後まで話した
- 逃げたい気持ちがあっても、その場にいられた
これらは、あなたが実際にしたことです。
もちろん、うまく伝わらなかった部分を振り返ることも大切でしょう。
でも、できなかったことだけを数えていたら、できたことはいつまでも見えません。
「完璧に話せなかった」と「何もできなかった」は、同じではないのです。
今日の反省会を、少しだけ変えてみませんか?
人前で話した後、いつも自分を責めてしまう方へ。
次に反省会が始まったら、こんなふうに振り返ってみてください。
① まず、事実だけを書き出す
「私はダメだった」ではなく、
「途中で一度、言葉に詰まった」
「声が少し震えた」
「最後まで話した」
というように、実際に起きたことを書き出します。
② 自分がつけた意味を見つける
次に、
「言葉に詰まったから、みんなに変だと思われた」
という考えが浮かんだら、
「これは事実かな。それとも、私の想像かな?」
と聞いてみてください。
実際に相手がどう思ったかは、確認しなければわからないこともあります。
③ できたことを、ひとつだけ見つける
最後に、
「今日、できたことは何だろう?」
と考えてみます。
「会議に参加できた」
「一言だけでも発言できた」
「緊張しても、最後までその場にいられた」
小さなことでも構いません。
できなかった部分を無理に褒める必要はありません。
ただ、できたことまで消してしまわないでほしいのです。
声が小さくなっていたのは、自信がないからだけではないのかもしれません
「また失敗した」
そう思うたびに、自分への信頼が少しずつ揺らいでしまうことがあります。
次の会議では、前回よりも緊張する。
「また同じことになったらどうしよう」
と思うと、発言をためらってしまう。
そして、話せなかった自分を、また責める。
そんな繰り返しの中で、声が小さくなってしまうこともあるでしょう。
でも、変えていける部分があります。
それは、話し終えた後の自分への接し方です。
うまく話せなかった日も、
「今日は緊張したね」
「それでも、伝えようとしたね」
「次は、もう少しゆっくり話してみようか」
と、自分に声をかけてみる。
失敗をなかったことにするのではありません。
自分を傷つけるような反省から、次につながる振り返りへと変えていくのです。
「また失敗した」を、「今日も挑戦した」に変えてみる
あがり症を克服することは、緊張しない人になることだけではありません。
緊張しても、自分の言葉を伝えられること。
思うように話せない日があっても、自分を嫌いにならないこと。
そして、少しずつ「話してみよう」と思える時間を増やしていくこと。
そんな変化も、大切な一歩だと思います。
もし今日、言葉に詰まってしまったとしても。
声が震えてしまったとしても。
その出来事だけで、あなたの価値が決まるわけではありません。
「また失敗した」と思ったその日にも、あなたが頑張った事実は残っています。
これからは、できなかった自分だけでなく、挑戦した自分にも目を向けてみませんか。
人前で話すたびに、自分を責めてしまう。
失敗への怖さが強く、発言することを避けるようになっている。
そんな方は、子どもの頃から身につけてきた考え方が関係しているのかもしれません。
カウンセリングでは、人前で感じる怖さや、自分に厳しくなってしまう背景を、一緒に整理していきます。
うまく話せなかった日のあなたも、責めなくていい。
まずは、あなたのお話を聞かせてください。
自分を味方に、わたしを大好きになる
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