『私は〇〇です』と決めつけていませんか? ——言葉をひとつ変えると、見えてくる自分がいます

「私は強迫性障害です」
「私はHSPです」
「私はあがり症です」
こうした言葉は、自分の困りごとや特性を理解するための、大切な手がかりになります。

自分の状態に名前がついたことで、ほっとした経験がある方もいるでしょう。
でも、その言葉がいつの間にか、自分のすべてを表す言葉になってはいませんか?

「私はこういう人間だから」
「どうせ、私には無理だから」
そんなふうに、自分の可能性まで決めつけてしまっているとしたら、少しもったいない気がするのです。

「私は〇〇だ」と「今は〇〇な状態」の違い

例えば、人前で話すことが苦手な方。

「私はあがり症だから、人前では話せない」
と思っていると、話す機会が来るたびに、できない自分を想像してしまうかもしれません。

でも、
「今日は人前で話すことに、強い不安を感じているんだな」
と考えてみたらどうでしょう。

不安があることは変わりません。
それでも、「私は話せない人間だ」と決めつけるより、自分の状態を少し離れたところから見つめられるかもしれません。

「私はこういう人間だ」と決めつけることと、「今の私はこう感じている」と受け止めること。

似ているようで、少し違うのです。

私たちは、いつも同じ自分ではありません

朝は元気だったのに、夕方には疲れてしまう日があります。
昨日は気にならなかった一言が、今日は胸に刺さることもあります。
人前で緊張する日もあれば、思いがけず自然に話せる日もあるでしょう。

人の心や体の状態は、いつも同じではありません。

それなのに、
「私は神経質だから」
「私は何をやってもダメだから」
と、ひとつの言葉で自分を説明しようとすると、そうではない自分を見落としてしまうことがあります。

心理学では、自分をどう捉えているかが、物事の受け止め方や行動に影響することが知られています。

だからこそ、自分をひとつの言葉に閉じ込めず、いろいろな面を持つ存在として見てあげることが大切なのです。

アダルトチルドレンの方が、自分を決めつけてしまう背景

子どもの頃、
「あなたは本当に気が弱いね」
「何をやってもダメね」
「もっとしっかりしなさい」
そんな言葉を繰り返し聞いてきた方もいるかもしれません。

最初は、親から言われた言葉だったはずです。

でも、何度も聞いているうちに、
「私は気が弱い人間なんだ」
「私はダメな人間なんだ」
と、自分でも信じるようになってしまうことがあります。

アダルトチルドレンの方の中には、こうした子どもの頃の経験から、自分に厳しい評価を向け続けている方もいます。

でも、少し考えてみてください。

その言葉は、本当にあなた自身が見つけた答えなのでしょうか?
誰かから言われた言葉を、今も自分の説明として使い続けているだけかもしれません。

病名や特性は、あなたのすべてではありません

例えば、強迫性障害のある方。確認
したい気持ちが強くなる日もあれば、比較的落ち着いて過ごせる時間もあるかもしれません。

「今日は確認したくなる気持ちが強いな」
と、自分の状態に気づくことは、症状との付き合い方を考えるきっかけになります。

ただし、言葉を変えれば症状が改善するという意味ではありません。強迫性障害には適切な治療や支援が必要になることもあります。

大切なのは、症状がある自分だけが、自分のすべてではないということです。

HSPという言葉も同じです。
HSPは医学的な診断名ではなく、感覚や刺激への敏感さなどを理解するために使われる言葉です。

「私はHSPだから、何もできない」
と決めつけるのではなく、

「私は刺激の多い場所では疲れやすいんだな」
「静かな環境だと落ち着いて過ごせるんだな」
と、自分に合う環境を知るために使うこともできます。

自分を理解するための言葉が、自分を縛る言葉になっていないか。

ときどき、振り返ってみたいですね。

言葉をひとつ変えてみませんか?

例えば、こんなふうに。

「私は人付き合いが苦手」
↓
「初対面の人と話すときは、緊張しやすいんだな」

「私は何をやってもダメ」
↓
「今日は思うようにできなかったんだな」

「私はいつも人の顔色を気にしてしまう」
↓
「今、相手にどう思われるか不安になっているんだな」

ほんの少し、言葉を変えるだけです。

でも、そこには大切な違いがあります。

「私はダメな人間だ」と考えると、自分の存在そのものを否定してしまいます。

一方、
「今日はうまくできなかった」な
ら、今日の出来事として受け止めることができます。

うまくできなかった日があっても、あなた自身がダメな人間になるわけではありません。

自分軸とは、いろいろな自分を認められること

自分軸というと、
「周りに流されない強い人」
「自分の意見をはっきり言える人」
を想像するかもしれません。

でも私は、それだけではないと思っています。

不安な自分もいる。
臆病になる自分もいる。
誰かに頼りたくなる自分もいる。
そして、思いがけず勇気を出せる自分もいる。

どれかひとつが本当の自分なのではなく、全部が自分の一部。

そう受け止められることも、自分軸を育てることにつながるのではないでしょうか。

あなたは、ひとつの言葉では表せません

「私は〇〇だから」
その言葉が、自分を理解する助けになっているなら、大切にしていいのです。

でも、その言葉によって、
「だから、できない」
「だから、幸せになれない」
と、自分の未来まで決めつけているとしたら……。

少しだけ、言い方を変えてみませんか。

「私はこういう人間だから」ではなく、
「今の私は、こう感じているんだね」
と。

不安な日があってもいい。
うまくできない日があってもいい。
そして、昨日とは違う自分に出会う日があってもいいのです。

あなたは、病名でも、性格でも、誰かにつけられた評価でもありません。

いろいろな気持ちを持ち、いろいろな経験を重ねながら生きている、一人の人です。

今日の自分を、ひとつの言葉で決めつけないこと。
そこから、まだ気づいていなかった自分のよさが見えてくるかもしれません。

あなたの中には、まだ知らないあなたがいるのです。

自分を味方に、わたしを大好きになる
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