いつも場を和ませる「ピエロ型」のあなたへ——本音を隠し続けた代償

みんなが黙ってしまったとき、真っ先に冗談を言う。
誰かが不機嫌そうにしていると、何とか笑わせようとする。

「あなたがいると、場が明るくなるね」
そう言われることも多い。

でも、家に帰って一人になったとき、
「今日も楽しかったはずなのに、なんだか疲れたな……」
そんな気持ちになることはありませんか?

人を笑わせるのは得意なのに、自分のつらさを話すのは苦手。
誰かの元気がないことにはすぐ気づくのに、自分の疲れにはなかなか気づけない。

今日は、そんなアダルトチルドレンの「ピエロ型」についてお話しします。

アダルトチルドレンの「ピエロ型」とは?

アダルトチルドレンには、子どもの頃の家庭環境の中で身につけた役割を表す、いくつかの呼び方があります。
そのひとつが「ピエロ型」です。

家族の緊張を和らげようと、冗談を言ったり、おどけたり、明るく振る舞ったりする役割です。

ただし、これは医学的な診断名ではありません。
自分の生き方を振り返るための、ひとつの手がかりとして考えてみてくださいね。

こんなことに心当たりはありませんか?

  • 周りから「明るい人」「面白い人」と言われることが多い
  • 場の空気が悪くなると、自分が何とかしなければと思う
  • つらい話をするときも、つい笑い話にしてしまう
  • 人と会った後、一人になるとどっと疲れる
  • 「本当はどうしたい?」と聞かれると、答えに困ってしまう

いくつか当てはまった方は、これからの3つの問いを、自分に重ねながら読んでみてください。

Q1.なぜ、本音を言わずに「明るい自分」を演じてしまうのでしょうか?

A.子どもの頃、明るく振る舞うことで、家族の緊張が和らいだ経験があるのかもしれません。

例えば、両親が険悪な雰囲気になったとき。
子どもが突然、おどけた顔をしてみせる。
すると、さっきまで怖い顔をしていた親が、少し笑ってくれた。
その瞬間、子どもはほっとします。

「よかった。笑ってくれた」
そして、また家族の雰囲気が悪くなると、同じように笑わせようとする。

そんな経験を重ねるうちに、
「私が明るくしていれば、みんなが安心する」
「私が笑わせなければ、家の中が暗くなってしまう」
と思うようになることがあります。

本当は自分も怖かった。
悲しかった。
誰かに甘えたかった。

でも、そんな気持ちよりも、家族を笑わせることを優先してきたのかもしれません。

私は、子どもの頃の環境の中で身につけた、こうした考え方を「借り物のルール」と呼んでいます。

ピエロ型の方の場合、
「私は、明るくしていなければいけない」
というルールが、いつの間にか心の中にできていることがあります。

でも、ここで考えてみてほしいのです。

家族を笑わせることは、本当に子どもだったあなたの役目だったのでしょうか?

あの頃は、そうするしかなかったのかもしれません。
でも今は、いつも誰かを笑わせる役を引き受けなくてもいいのです。

Q2.人といるときは楽しいのに、一人になると疲れてしまうのはなぜ?

A.周りに気を配り続けることや、自分の気持ちを抑えることが、負担になっている可能性があります。

例えば、友人との食事会。
みんなが楽しそうに話しています。

でも、あなたは会話を楽しみながらも、どこかで周りを気にしています。
「あの人、さっきから黙っているな」
「今の話題、誰かが嫌な気持ちになっていないかな」
「そろそろ何か面白いことを言った方がいいかな」

気づけば、自分が何を食べたいかよりも、みんなが楽しんでいるかどうかが気になっている。
そして、帰宅して一人になった途端、ソファに座り込んでしまう。

楽しくなかったわけではありません。
でも、楽しむことと、周りを楽しませるために頑張ることは、同じではないのです。

また、こんなことはありませんか?

本当は傷ついたのに、
「いやいや、全然大丈夫!」
と笑ってしまう。

本当は疲れているのに、
「まだまだ元気だよ!」
と言ってしまう。

そんなことを繰り返していると、自分が何を感じているのか、わかりにくくなる場合があります。

疲労感や空しさ、気分の落ち込みには、体調や生活環境など、さまざまな要因も関係します。

ただ、もし「人といる間は、ずっと誰かのために頑張っている」と感じるなら、その負担にも目を向けてみてほしいのです。

「楽しかった?」の前に、もうひとつ質問してみる

人と会った日の夜、こんなふうに自分に聞いてみませんか?
「今日、私は無理をして笑った瞬間があったかな?」

すぐに答えが出なくても構いません。

「そういえば、あのとき本当は嫌だったな」
「本当は少し寂しかったのかもしれない」
そんな小さな気づきがあれば、それを打ち消さずに受け止めてみてください。

誰かに見せるためではない、自分だけの気持ちです。

Q3.「ピエロ型」の生き方を変えるには、どうしたらいいのでしょうか?

A.明るさを捨てる必要はありません。笑うかどうかを、自分で選べるようになることが大切です。

ここは、ぜひお伝えしたいところです。
人を笑わせることが好き。
みんなと楽しい時間を過ごすことが好き。
それは、あなたの素敵な一面です。

だから、無理に静かな人になったり、明るい性格を変えたりする必要はありません。

見直してほしいのは、
「笑いたいから笑う」のか、「笑わせなければいけないから笑う」のか。
その違いです。

例えば、友人から、
「今日、元気ないね?」
と聞かれたとき。

いつもなら、
「そんなことないよ!」
と笑っていたかもしれません。

でも、もし安心して話せる相手なら、
「実は、ちょっと疲れているんだ」
と伝えてみる。

みんなが盛り上がっているときも、無理に話題を提供せず、静かに聞いている時間があっていい。
誰かが不機嫌そうにしていても、すぐに自分が何とかしようとしなくていい。

最初は、落ち着かないかもしれません。
「私が何もしなかったら、場が悪くなるのでは?」
と不安になることもあるでしょう。

そんなときは、こう問いかけてみてください。
「今、私は本当に笑いたいのかな?」
「それとも、笑わなければいけないと思っているのかな?」

自分の気持ちを確かめるだけでも、これまでとは少し違う時間が生まれるかもしれません。

「明るいあなた」しか知らない人ばかりではありませんか?

ここまで読んで、ふと気づいたことはないでしょうか。

「いつも元気だね」
「悩みなんてなさそう」
「あなたなら大丈夫でしょ」
そんな言葉をかけられることは多いのに、

「本当はどうしているの?」と聞いてくれる人が、あまりいない。

あるいは、聞かれても本当のことを話せない。
それは、とても寂しいことかもしれません。
でも、周りの人は、あなたがいつも明るく振る舞っていることで、つらさに気づいていない可能性もあります。

だからこそ、安心できる相手がいるなら、ほんの少しだけ本音を見せてみてもいいのです。

「今日は、あまり元気じゃないんだ」
「その言葉、実はちょっと傷ついた」
「今は、一人でゆっくりしたいな」

もちろん、誰にでも本音を話す必要はありません。

話しても大丈夫だと思える人に、話せる範囲からでいいのです。

笑わせなくても、一緒にいられる関係へ

子どもの頃のあなたは、家族を笑わせることで、家の中の空気を守ろうとしていたのかもしれません。
その明るさに、助けられた人もいたでしょう。

でも、これからは少しずつ、あなた自身の気持ちも大切にしてほしいのです。

楽しいときは、思いきり笑っていい。
悲しいときは、悲しい顔をしてもいい。
疲れたときは、無理に元気なふりをしなくてもいい。

そして、何も面白いことを言わなくても、ただ一緒に過ごせる関係があっていいのです。

「みんなを笑わせる私」だけでなく、「誰かと一緒に笑う私」も大切にしてみませんか?

あなたは、いつも場を盛り上げる役でなくてもいい。
誰かを楽しませることができない日も、あなたの価値が小さくなるわけではありません。

これからは、人の笑顔だけでなく、あなた自身の笑顔も大切にしていきましょう。
長い間「明るい自分」で過ごしてきた方にとって、本音を話すことは勇気がいるかもしれません。

カウンセリングでは、無理に明るく振る舞わなくても大丈夫です。
うまく言葉にできなくても、途中で黙ってしまっても構いません。

誰かを笑わせるためではなく、あなた自身のために話す時間を持ってみませんか。

まずは、あなたのお話を聞かせてください。

自分を味方に、わたしを大好きになる
つむぐ🍀こころLab

次回:第2回「ヒーロー型」のアダルトチルドレンとは?

いつも期待に応えようと頑張り、成果を出すことで自分の価値を確かめようとする「ヒーロー型」。
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