結婚式のスピーチ、会議での発言、ちょっとした挨拶。人前に立つと、急に緊張してしまう。
一生懸命準備したのに、思うように話せなかった自分を、あとから何度も責めてしまう。
そんな経験はありませんか?
実は、その苦しさには、子どもの頃から身につけてきた「借り物のルール」が関係しているのかもしれません。
同じ場面なのに、どうしてこんなに違うの?
「評価される場」にいる人
話している間ずっと、
「うまく話せているか」
「変に思われていないか」
「面白いと思われているか」を気にしている。
頭の中は、聞いている人たちの「採点」でいっぱい。
「役割を果たす場」にいる人生
自分の話す内容と、
その場の進行に意識が向いている。
「うまく見せる」ではなく、
「この場を成立させる」ことだけを考えている。
もちろん、どちらの人も緊張することはあります。
でも、「自分がどう見られるか」と「何を伝えたいか」では、心にかかる負担が違ってくるのです。
心の中にいる「もう一人の評価者」
人前で話すことが苦手な方は、実際に周りからどう見られているかだけでなく、頭の中で想像した他人の目線を通して、自分を厳しく評価してしまうことがあります。
「今の言い方、おかしかったかな」
「声が震えているのがバレたかも」
「きっと、話すのが下手だと思われている」

誰かに言われたわけでもないのに、自分で自分にダメ出しをしてしまう。
まるで、心の中に「もう一人の評価者」がいるようです。
そして、その評価者は、なかなか厳しいのです。
少し言葉に詰まっただけで「失敗した」。
声が震えただけで「恥ずかしい」。
誰かが真顔で聞いているだけで「つまらないと思われている」。
でも、本当にそうなのでしょうか。
相手が何を考えているのかは、実際にはわかりません。
それなのに、いつの間にか、自分自身がいちばん厳しい採点者になっているのかもしれません。
その評価者は、いつから心の中にいるのでしょう
ここで、少し子どもの頃を振り返ってみてください。
「ちゃんとしなさい」
「失敗しないようにしなさい」
「そんなことをしたら笑われるよ」
そんな言葉を聞きながら育ってきませんでしたか?
あるいは、親の顔色をうかがい、怒られないように、期待に応えられるように頑張ってきたのかもしれません。
子どもにとって、身近な大人との関係はとても大切なものです。
だからこそ、
「失敗してはいけない」
「人から変に思われてはいけない」
「ちゃんとできなければ認めてもらえない」
そんなルールを、知らず知らずのうちに身につけることがあります。
私は、これを「借り物のルール」と呼んでいます。
あの頃は、怒られたり、否定されたりしないように、自分を守るために必要だったのかもしれません。
でも、大人になった今も、そのルールを守り続けているとしたら……。
人前に立つたびに、
「ちゃんとしなければ」
「失敗してはいけない」
という声が、心の中で響いてしまうのです。
人前で話すことは、試験ではありません
例えば、結婚式のスピーチ。
本来は、新郎新婦にお祝いの気持ちを伝えるためのものですよね。
会議での発言も、必ずしも完璧な答えを出すことが目的ではありません。
自分の考えを伝えたり、みんなで意見を出し合ったりするためのものです。
ところが、「失敗してはいけない」という借り物のルールがあると、いつの間にか目的が変わってしまいます。
「伝えること」よりも「失敗しないこと」が大切になってしまう。
だから、ますます緊張してしまうのです。
もし、そんな自分に気づいたら、少しだけ問いかけてみてください。
「私は今、何を伝えたいんだろう?」
「この場で、私にできることは何だろう?」
うまく話そうとする気持ちを、無理になくす必要はありません。
ただ、少しずつ意識を「自分への評価」から「伝えたいこと」へ戻していく。
それだけでも、人前で話すときの感じ方が変わってくることがあります。
もう、昔のルールで自分を縛らなくていい
子どもの頃に身につけたルールは、今のあなたにも必要でしょうか。
「失敗してはいけない」から、
「失敗することがあってもいい」へ。
「人からどう見られるかが大切」から、
「私が何を伝えたいかも大切」へ。

「ちゃんとできなければ価値がない」から、
「うまくできない私にも価値がある」へ。
少しずつ、自分に合ったルールに書き換えていくことができます。
長い間、自分を守ってきたルールです。
すぐに手放せなくても大丈夫。
緊張したっていい。
声が震えたっていい。
言葉に詰まったっていい。
できる自分も、できない自分も、これが私。
そんなふうに思えるようになることも、あがり症の苦しさをやわらげていく大切な一歩です。
今度は、自分を味方にして話してみませんか?
これまで、人前で失敗しないように、周りからどう見られるかを気にしながら、一生懸命頑張ってきたあなた。
もう、自分自身まで厳しい評価者にならなくてもいいのです。
誰かの期待に応えるためではなく、自分の気持ちを伝えるために話していい。
うまく話せなかった日も、
「今日も頑張ったね」
と、自分に声をかけてあげてください。
カウンセリングでは、人前で緊張してしまう気持ちの奥に、どんな思いや「借り物のルール」があるのかを、一緒に見つめていきます。
人前で話すことが、もう少し楽になるように。
そして、何よりも、
「このままの私で大丈夫」
と思えるように。
これからは、自分を味方にして生きていきませんか。
自分を味方に、わたしを大好きになる
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